この記事では、アメリカ・インディアンのラコタ族が日頃から行っている「ギブ・アウェイ」という儀式。「この儀式の精神とは何か」について、簡単に説明しています。
多くの現代人にはたいへん耳の痛い生き方、それが “ギブ・アウェイの精神” です。
現代日本人も「自分の生き方」を見つめ直さなくてはいけない
ラコタ族の精神がよく現れている儀式
「ギブ・アウェイ」とは、サンダンスを4年あるいは7年連続で踊りきったときや、身内が亡くなって1年の喪明けのとき(日本でいう形見分け)などに、持っているものすべてを与え尽くすという儀式です。
これは、お世話になった人や、応援してくれた人、そして大いなる神秘である「ワカンタンカ」への感謝の気持ちを表現するために行うもので「ため込むのではなく、手放すことが大切だ」というラコタ族の精神がよく現れている儀式です。
自分にとって大切なものを相手にプレゼントすること
ラコタの人たちは、日頃から自分にとって大切なものを相手にプレゼントすることで、それは素晴らしい贈りものとなり、その贈りものには自分の「こころ」も込められているので、大切に使ってもらうことができると信じています。そして、さらに別の人の手に渡ったとき、「ギブ・アウェイ」に本当の価値が出てくる考えているのです。
また、大切なものを「手放す(与える)」ことで、自分には別の大切なものが必要なときに入ってくるというのが「ギブ・アウェイの精神」です。この行為を繰り返すことで、お金では手に入れることのできない、大切な何かを「こころ(魂)」の中に得ていくのです。
現代日本人も「自分の生き方」を見つめ直すときが来ている
この「ギブ・アウェイの精神」は、現代人にはたいへん耳の痛い話でしょう。「必要なものだけが、必要なときにあればよい」というアメリカ・インディアンの精神とはまったく逆の、つまり「必要もないのに、たくさんのもの(お金も含む)をため込む」といった生き方をしている現代人が多くいるのは事実です。
長年かけて培ったこの悪い癖を改善することは、非常にむずかしいことかもしれませんが、そろそろ現代日本人も「自分の生き方」を見つめ直し、少しずつでも「エゴ」のないナチュラルな生活に戻さなくてはいけないときが来ているような気がします。
大いなる神秘「ワカンタンカ(=グレートスピリット)」とは
仏教やキリスト教など宗教では、神を擬人化し存在を個人のように扱っていますが、もともと宗教を持たないアメリカ・インディアンは、宇宙規模で起こるいろいろな不思議の源を創造主「ワカンタンカ(グレートスピリット)」と呼んでいます。
呼び方は各部族によって違いはあるようですが、英語では「グレートスピリット」と訳されています。また「グレートスピリット」と「スピリット」は違い、「スピリット」と呼ばれているものは地球上のいろいろなものに宿っていて、人や自然界すべてのものと「グレートスピリット」とを繋ぐための「精霊」と考えればよいようです。
サイト ウィキペディア:ワカン・タンカ
参考:「ともいきの思想 自然と生きるアメリカ先住民の「聖なる言葉」」著)阿部珠理(小学館新書)
参考:「自分を信じて生きる -インディアンの方法」著)松木正(小学館)
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