1975年、和田アキラ(ギター)と渡辺建(ベース)を中心に結成された日本を代表するフュージョンバンドです。結成当初のメンバーである和田アキラ(g)、渡辺建(b)、久米大作(key)、伊藤幸毅(key)、鈴木リカ徹(ds)に、四人囃子を脱退したばかりの森園勝敏(g)がレコーディングに加わり制作したアルバム『PRISM』で、1977年にデビューします。
その後メンバーチェンジを伴いながらも、活動中です。現在のメンバーは、和田アキラ(g)、岡田治郎(b)、木村万作(ds)、渡部チェル(key)の4人で、2013年11月にアルバム『MODE:ODD』、2017年7月にはデビュー40周年記念のセルフ・カバー・アルバム『Celebrate』をリリース、さらに2017年9月にはオリジナルアルバムの発表を予定しています。
公式サイト 「PRISMオフィシャルサイト」
『Celebrate』 2017年リリース
7月26日に発売された、デビュー40周年記念のセルフ・カバー・アルバムです。メンバーは、和田アキラ(g)、岡田治郎(b)、木村万作(ds)、渡部チェル(key)。
ほとんどの楽曲において、オリジナル・アルバムに収録されているバージョンよりも、重々しさが抜け「軽快なサウンド」に仕上がっています。和田アキラのギターも “のびのび” としたプレイが堪能できます。
1曲目は「Voyager」、懐かしさを噛みしめながら聴いていたのですが、エンディングで岡田治郎(b)が「あのフレーズ(イントロの速弾き)」を和田アキラ(g)とユニぞっています。カッコいいです。
2曲目「Virgo-9」は、和田アキラ(g)と、岡田治郎(b)のソロの掛け合いが聴きどころです。オリジナル・バージョンよりも、かなり軽快なサウンドになっています。
7曲目「Ideogram」と、12曲目「Humming Frogs」は、従来のプリズムらしいハードなサウンドを聴くことができます。「Ideogram」では、各パートのソロを聴かせてくれます。
8曲目の「Take Off」は、1986年マイルドセブン・メンソールのCMタイアップ曲で、当時のファンはプリズムらしくないポップなサウンドに驚いたものでした。この楽曲は、オリジナル・バージョンよりもハードな演奏になっています。特に曲のエンディングに向かうほど、木村万作のドラムがロックしています。
ラスト12曲目の「Humming Frogs」は、和田アキラのソロアルバム「OUT&ABOUT」の1曲目の楽曲です。『Celebrate』に収録された楽曲の中では、最もハードなサウンドに仕上がっていて、和田アキラのギターもハードに弾きまくりといった印象です。
特に大幅なアレンジが加えられているわけではありませんが、メンバーそれぞれの見せ場もあり、セルフ・カバーでありながら新鮮さを感じる作品です。
録音界の巨匠、行方洋一を迎え入れ、ヴィンテージマイクをふんだんに使ってレコーディングされたということで、オリジナル・レコーディング当時のビンテージ感も満喫できます。昔ギター少年だったオジさん達も、きっと満足のいく一枚です。夏のドライブのお供にも良さそうです。
『PRISM Ⅲ』 1979年リリース
1979年リリースのサード・アルバムです。メンバーは、和田アキラ(g)、渡辺建(b)、伊藤幸毅(key)、鈴木リカ徹(ds)、そして、脱退した森園勝敏に変わって加入した佐藤康和(per・vo)です。
このサード・アルバムは、1st、2ndと比較するとプログレ色が強くなっています。2曲目の「VIRGO-9」のような変拍子の楽曲が増えていることからも、和田アキラの主張がハッキリと表れていることがわかります。ですが、アルバム全体としてはバラエティに富んだ楽曲構成の作品となっています。
その2曲目「VIRGO-9」は、和田アキラが影響を受けたギタリストの内の一人、ジェフ・ベックのアルバム『Blow By Blow』に収録されている「Scatterbrain」(9/8拍子)からヒントを得たのではないかと思わせる楽曲です。それにしても、プリズムらしい曲の展開の美しさには惚れ惚れします。
4曲目の「LIVING FOR THE DAYLIGHT」は、ギター・リフの軽快なカッティングが印象的な楽曲で、私も高校時代にライブのオープニング曲に選んだことがあります。
5曲目の「MY LITTLE TRICK」は、渡辺建(b)リードの楽曲ですが、アル・ディ・メオラのアルバムに収録されていても違和感のないような楽曲です。個人的には好きな曲です。
注目曲は6曲目の「SUNRISE CRUISE」で、このアルバムのメインと言ってよい楽曲です。この楽曲もバッチリ「アル・ディ・メオラ風」ですが、とにかく「カッコいい!」の一言に尽きると思います。メンバー全員のプレイが生き生きとしています。
発表されたオリジナル・アルバムの中で、一番好きなアルバムですし、個人的にはこの『PRISM Ⅲ』がプリズムの最高傑作だと思っています。絶体おすすめの作品です。
2017年06月21日に発売された【リマスター限定盤(SHM-CD)】には、シングル曲「SUNSET CRUISE」など、ボーナス曲が4曲追加され全14曲が収録されています。限定版ですのでお早めに!
『PRISM』 1977年リリース
1975年から活動を開始していたプリズムの1stアルバム。初回プレス8,000枚は発売後1時間くらいで完売したと言われている伝説のデビューアルバムです。アルバム収録時のメンバーは、和田アキラ(g)、渡辺建(b)、久米大作(key)、伊藤幸毅(key)、鈴木リカ徹(ds)に、森園勝敏(g)を加えた6人で、当時では珍しいツイン・キーボードです。
和田アキラ率いるプリズムの活動は、当時注目されていたクロスオーバー(フュージョン)を演じるインストゥルメンタル・バンドが「日本にはまだいない」ということではじまりました。そして、このアルバム『PRISM』には、サンタナ、アル・ディ・メオラ、ジェフ・ベックなどのギタリストに大きく影響を受けたことがうかがえる楽曲も収録されています。
このアルバム『PRISM』は、発売当時のLPの特長であるA面・B面をうまく利用し、A面を「ソフト・サイド」、B面を「ハード・サイド」と、サウンドの色分けをしています。“朝、爽やかな気分で過ごしたいとき”には「ソフト・サイド」、“活動的になりたいとき”は「ハード・サイド」といった具合でしょうか。
たしかに、1曲目から4曲目までの「ソフト・サイド」と、5曲目から7曲目までの「ハード・サイド」では、まったく違った曲調になっています。当時の日本国内では珍しい「インストゥルメンタル・アルバム」だっただけにインパクトが欲しかったのかもしれませんね。
まず「ソフト・サイド」からの注目曲ですが、1曲目「MORNING LIGHT」、和田アキラの優しいギターサウンドで始まる、爽やかな朝のイメージにピッタリの楽曲です。オクターブ奏法がいいアクセントになっています。そして、この楽曲で一番印象的なのは「渡辺健」のフレットレス・ベースで奏でられる美しいベースラインでしょう。
3曲目「DANCING MOON」は、夏を感じさせる楽曲で「夏の夜のドライブ」にチョイスしておきたい1曲といった印象です。また、白尾泰久のサックスが参加したことで大人の雰囲気がプラスされています。渡辺健のベースラインも相変わらずカッコいいですねぇ。
4曲目の「LOVE ME」は先行発売されたシングル曲で、アルバム唯一のボーカル曲です。(歌っているのはタンタンです。)この曲の構成は、サンタナの『Europe(邦題:哀愁のヨーロッパ)』を意識したのでしょう。ギターソロのサンバのリズムがまさしくそうですし、パーカッション(斉藤ノブ)も思いっきり炸裂しています。(笑)
次に「ハード・サイド」の3曲は、「ソフト・サイド」とは打って変わってプリズムの本来の持ち味である“ロック色の強い”楽曲ばかりで、和田アキラの超絶ギターを満喫できます。
6曲目の「TRNADO」は、「よし、いくぞ!」という、意気込みが伝わってくるような和田アキラのハードなギターサウンドで始まります。ギターソロでは、和田アキラと森園勝敏のタイプのまったく違う演奏が楽しめます。そして、この楽曲もどこかで聴いたことがあるような・・・ そうです、アルディメオラお得意のパターンです。
「ハード・サイド」ラストにあたる7曲目の「PRISM」は、プリズムの代名詞とも言える「変拍子と速弾き」が炸裂する楽曲です。メンバーそれぞれの個性が随所に主張されているのですが、まったく邪魔になることなくカッコ良くまとめられています。この楽曲も「サンタナ、アル・ディ・メオラ、ジェフ・ベック」など、いろいろなアーティストのテイストを感じます。
そして、紹介しているCDにはボーナストラックとして「OUT OF BLUE」が収録されています。この楽曲は、シングル曲「LOVE ME」のB面曲(今風に言うとカップリング曲)で、アルバム未収録でした。「ソフト・サイド」向きのライトな楽曲です。
いつもよりも長めの紹介になってしまいましたが、今聴いても全曲が「まさしくプリズム!」といったカッコいい楽曲です。和田アキラ本人が語っているように、自身が影響を受けたアーティストを意識し制作したということを証明しているアルバムだと言えるでしょう。
ロック・ギタリストにとって、バイブル的なアルバムです。ギター小僧たちに「是非、聴いて欲しい名盤!」コピーに挑戦してみては?
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2021年3月28日、敗血症による多臓器不全により亡くなりました。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。