前回の第4回「好感をあたえる接客しやすい店づくり」では、接客の「要(かなめ)」である「客との対話の重要性」と「客との対話のための予習」について述べました。その中で「売上50%アップ達成のための接客」をするためには「予習」が必要であることをお伝えしました。
「予習」は十分にできましたか?
「客の動向を観察する」ことで、「勘」を養うことはできましたか?
「客が何を求めようとしているのか」がわかるくらい、「勘」が働くようになりましたか?
では今回から、あなたにある程度の「勘」が養われたであろうことを前提に「売上50%アップ達成のための接客方法」をお伝えしていこうと思います。これを実践することができれば、必ず売上はアップしていきます。
第4回までの記事の内容から、あなたも薄々気付いていたのではないでしょうか? そのとおり、「売上50%アップ達成のための接客方法」とは、ズバリ!「ススメ売り」です。
「ススメ売り」とは?
「ススメ売り」とは、文字どおり「客が欲しているであろうと予想される商品を、会話を交えながら提案する」接客方法です。そうです、アパレル関係のショップでは当たり前になっているあの「声かけ」をする方法です。
ただ、アパレルの場合は客の外見だけで「どんなものが似合いそうか」「どんなスタイルが好みか」といった見当は付きやすいでしょうが、商品が「CD(音楽)」となるとそう簡単には予想できません。
「ススメ売り」をするには、まず、来店客の動向を観察して得た情報を整理した上で「何を求めようとしているのか?」「音楽の指向は?」「社交的なタイプか?人見知りしそうなタイプか?」などの大まかな予測情報を把握することが必要になります。これが私の言うところの「予習」です。
「予習」にかかる時間は、日々の訓練により「勘」を養うことで短くなっていきます。やはり、慣れることが重要です。
十分予習ができたら、「ススメ売り」のためのアプローチ開始です。
ただし、この「ススメ売り」という接客方法には利点もあれば当然欠点もあります。そのあたりを十分理解し、必ず客の気持ちになった接客を心掛けましょう。
ススメ売りの利点
- 「手ぶら」で帰る客を減すことができる。
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客単価が上がる。
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常連客が増える。
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目標の売上50%アップを達成することができる。
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メーカーに対する店の実績につながる。
ススメ売りの欠点
- アプローチに失敗すると客に不快感を与える。
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「声かけ」を嫌がる客は来店しなくなることがある。
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常連客との適切な距離を保つ必要がある。
「ススメ売り」は、客単価を上げることが目的
音楽業界においてCD離れが進む現代、個人の販売店で客数を増やすのは容易なことではありません。そこで「ススメ売り」することによって、例えば、欲しい音楽CDを2点購入予定の客に、もう1枚すすめて合計3点購入していただくことで客単価を上げるのです。
また、あくまでも私の経験則になりますが、ススメ売りをしていく中で最も多かったのが、2点購入予定の客がすすめられた商品を1点追加して、3点購入することになったケースなのです。
実はこの3点購入にはハッキリとした理由があります。それは2つの人間心理の相乗効果によるものです。これについては、また機会があれば説明しようと思いますが、「ススメ売り」することにより「売上が50%アップ」するという理由がここにあります。
「ススメ売り」の実践方法はこれ!
「ススメ売り」の実践は次の順序で行います。
- 来店客の動向を観察して「情報収集」する。【予習】
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客にマッチした楽曲を店頭で流す。【アプローチへのお膳立て】
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ファースト・アプローチを試みる。【セカンド・アプローチへの前座】
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一旦離れて、再び客の動向を観察する。【予習の確認・情報収集】
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セカンド・アプローチ、さらなる情報を得るための対話を試みる。【本番】
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5のセカンド・アプローチで良い感触を得られなかった場合は、ススメ売りはやめる。うまく対話できるようになった場合は、7へ。【ススメ売り 可・不可の判断】
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あなたが「聴いて欲しい」と思った商品は、積極的にすすめる。【ススメ売り】
詳細については「第6回」の記事にて説明します。
【CD店舗売上アップ術】第5回「売上50%アップ達成のための接客方法」は “ススメ売り”!は、ここまでです。今回は、売上50%アップ達成のための接客方法は、ズバリ「ススメ売り」であることをお伝えしました。
「ススメ売り」とはどんな接客方法であるか、そのためには「勘」を養うことが重要であることから実践順までを述べました。いかがでしたか? わかっていただけたでしょうか?
第6回は、いよいよ「ススメ売り」の実践方法について順を追って説明したいと思います。 では、また次回。
【CD店舗売上アップ術】連載 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回(最終回)
音楽ソフト販売業の経歴はこちらにあります。