特徴を簡単にまとめてみました
ナバホ族の「アツィディ・サニ」が1850年代にはじめた銀細工の技術は、近隣のズニ族やホピ族に広まっていきました。部族によってデザイン・技法に特徴があり、作品を見分けるポイントにもなります。
ズニ族の銀細工の特徴
ズニ族の特徴は、小さなターコイズをたくさんあしらったペンダントやブローチが多く、ナバホ族のジュエリーが「銀」を主体とするのに対して、ズニ族のジュエリーの主体は「石」で、銀は土台に過ぎないものになります。
ホピ族の銀細工の特徴
ホピ族の特徴は、銀板にさまざまナデザインを切り抜き、別の銀板と貼り合わせる「オーバーレイ」という技法にあります。ホピ族は、もともと土器作りを得意としていたため土器に描かれていた文様をデザインしたもの(蛇やカチーナなど)が多いのも特徴です。
ナバホ族の銀細工の特徴
ナバホ族の特徴は、先端に「ナジャ」という、ナバホ独特の三日月型をデザインしているものが多いことです。また「ターコイズ」をはめ込む場合でも、自然石を加工することなくそのままの形で使用することが多く、台座の量産ができないため手間がかかり、高価になりがちです。
インディアン・ジュエリーの8割以上が「メイド・イン・ナバホ」
このように各部族で特徴を出していますが、一見してズニ族、ホピ族のジュエリーに見える作品も、今は市場の8割以上が「メイド・イン・ナバホ」のようです。いろいろな部族の手法を取り入れて、それを自分たちの作品に仕上げることができる、これはナバホ族の技術が優れているということなのでしょう。
参考:「風の民 ナバホ・インディアンの世界」著)猪熊 博行(社会評論社)
参考:「インディアンの日々 生きることの迷ったら、インディアンの声を聞け」著)横須賀孝弘(ワールドフォトプレス)
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「風の民 ナバホ・インディアンの世界」:誕生から現在までの生活様式や儀式、思想がわかる
ナバホ族の誕生から現在までの生活様式や儀式、思想などを知ることができます。ナバホ・ジュエリーの製作方法や手作りバスケットの重要性、ナバホ織り、砂絵の歴史などが詳しく書かれています。
「インディアンの日々 生きることに迷ったら、インディアンの声を聞け」
東部森林地帯・大平原・南西部・北太平洋岸に住むアメリカ・インディアンの衣食住について紹介されています。写真や絵、図面などを豊富に使用し、たいへんわかりやすく紹介されています。