2013年の発売以来、大ベストセラーとなっている「嫌われる勇気(ダイヤモンド社)」が原案となった香里奈主演:刑事ドラマ『嫌われる勇気』が、フジテレビ木曜劇場(22:00〜22:54)で1月12日木曜から放送されます。
原案「嫌われる勇気」は、フロイト、ユングと並ぶ“心理学界の三大巨匠”の一人である「アルフレッド・アドラー」が20世紀初頭に説いた新しい心理学「アドラー心理学」を、悩める青年(古賀史健)と哲人(岸見一郎)との対話形式でたいへんわかりやすく解説した本です。続編の「幸せになる勇気」を併せると、180万部を突破している大ベストセラーです。
アドラー心理学とは?
アドラー心理学では、トラウマを明確に否定しています。「これまでの人生に何があったとしても、今後の人生をどう生きるかについて何の影響もない」これがアドラーの目的論です。人はみな何かしらの「目的」に沿って生きていますが、それを達成するためには過去の「原因」を振り返ってくよくよするのではなく、今これから自らがどう生きるかを考えなくてはならないと説いています。
また、アドラー心理学では、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言しています。内面の悩みなどというものは存在せず、「課題の分離」をすることで対人関係の悩みは全てなくなると説いています。
「課題の分離」とは、自分ではどうすることもできない「他者の課題」と、自分が変わることで解決する「自分の課題」を切り離すことです。
他者が自分をどう評価するかは、自分ではどうすることもできない「他者の課題」であるため、そこに不用意に踏み込むことはせず、自分の人生(自分の課題)を生きることで、対人関係の悩みは解消されるということなのです。
他者から嫌われることを恐れて、常に他者の期待を満たすために生きることは「自分の人生を生きているのではなく、他人の人生を生きてしまっていることになる」のです。「嫌われる勇気」と「幸せになる勇気」を持つことで、人は本来の自分の人生(自分の課題)を生きていくことができるのです。
「アドラー心理学とは何か」を、簡単にかいつまんで説明するとこんな感じです。
刑事ドラマ『嫌われる勇気』について
アドラー心理学は、思想・哲学としては理解できるのですが、いざ実践しようとするとなかなかむずかしいもので、勇気と覚悟が必要なことです。これは誰もが思うことで、このドラマの企画担当者も同じだったようです。
そこで、「アドラー心理学を100%体現できる“嫌われる勇気”を持った人物が、もし警視庁の刑事だったら?」と思ったことがきっかけで、この企画が生まれたそうです。
一話完結型の刑事ミステリードラマで、アドラー心理学を地で行く“アドラー女子”の主人公・庵堂蘭子(32)役に「香里奈」、コンビを組む優柔不断で心配性の“嫌われたくない男”青山年雄(28)役に「加藤シゲアキ」。そして、事件の犯人像に関する情報を警視庁に提供している“犯罪心理学専門”の大学教授・大文字哲人(52)役に「椎名 桔平」、といったキャストです。
また、ドラマの花として鑑識課鑑識係・村上由稀菜役の「岡崎紗絵」にも注目ですね。
犯人探しのミステリーや、痛快な勧善懲悪が楽しめる本格的な刑事ドラマでありながら、どこか普通の生活の中にも応用できるような考え方のヒントが散りばめられた、今までにないタイプのドラマになっています。
サイト:フジテレビ「嫌われる勇気」イントロダクション 渡辺 恒也氏のコメントより抜粋「世界一嫌われている女刑事」庵堂蘭子の生き方を通して、「自由、そして幸せになるための勇気」の必要性を問う、アカデミックでシニカル、そして見るだけでアドラー心理学を学ぶことができる大人の刑事ドラマ木曜劇場『嫌われる勇気』にどうぞご期待ください!
サイト:フジテレビ「嫌われる勇気」イントロダクションより抜粋
公式サイト ドラマの詳細についてはこちら
「岡崎紗絵」
公式サイト :ティートライブ(事務所)
公式ブログ :LINE BLOG
「アドラー心理学」を学ぶ良いチャンス!
人として本来の生き方をしていくための重要な思想を説いているのが「アドラー心理学」であり、それをたいへんわかりやすく対話形式で表現しているのが「嫌われる勇気(ダイヤモンド社)」です。
この本を一読したとき、多くの方が「なるほど」と思われたことでしょう。しかし、現実として社会に持ち込むには、本当に「嫌われる勇気」が必要になってきます。ですから、一歩目は踏み出すことができても、次の一歩がなかなか踏み出せなくて挫折してしまっている人も多いのではないでしょうか。
そんなときに、このドラマ「嫌われる勇気」の放送はとても良いタイミングだと思います。実写化されたドラマを見ることで、次の一歩へのヒントが見つかるかもしれません。
対人関係の悩みは誰にでも少なからずあるでしょう。「アドラー心理学」という言葉を初めて耳にしたという方も気軽に学べる良いチャンスですので、ご覧になってみてはいかがでしょうか。個人的にも、このドラマ「嫌われる勇気」が、タメになる良質のドラマであることを期待しています。
興味を持たれた方は、書籍「嫌われる勇気」と続編「幸せになる勇気」も併せて読んでみてはいかがでしょうか。
追記(2017/02/24):2月23日放送の冒頭、刑事「青山年雄(加藤シゲアキ」と大学教授「大文字哲人(椎名 桔平)」の会話で「共同体感覚」についての説明がなされていました。そして、ラストシーンでは「繋がり」を例にあげ、「共同体感覚」をわかりやすく説明したことで、これまでの中で一番良い内容になっていたのではないかと個人的には思います。これが「日本アドラー心理学会」からの抗議に対するフジテレビ側の対応ということでしょう。「日本アドラー心理学会」の反応が気になります。
追記(2017/02/17):2月16日放送後の予告で、来週放送第7話のタイトルが「共同体感覚」になっていました。これは、私も指摘しましたが「日本アドラー心理学会」からの抗議文を受けて対応したのかもしれません。2月23日の放送が楽しみです。
お詫び(2017/02/12):この記事を書いたときは、上にもありますように “タメになる良質のドラマであることを期待” していたのですが、少し偏った解釈のままドラマ化されたような内容になっています。(「共同体感覚」という思想部分の欠落)これでは「アドラー心理学」を学ぶことはできません。
そして、とうとう「日本アドラー心理学会」よりフジテレビに対して「抗議文」が提出(2017/2/3)されていたようです。抗議文は「日本アドラー心理学会」のサイトにもアップされています。
この記事を読んで、ドラマを観ていただいたみなさまには、残念な結果となり本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
というわけで、「アドラー心理学」を学ぶには、やはり本を読みましょう。
書籍の詳細はこちらに!
「アドラー心理学」と「アメリカ・インディアンの思想」に共通点あり
アドラーの思想は、「人間は、いつでも自己を決定できる存在である」という、人間の尊厳と、人間が持つ可能性への強い信頼に基づいています。
出典:「幸せになる勇気」著)岸見 一郎 古賀 史健(ダイヤモンド社)
こうしたアドラーの思想は、このブログ「Web漂流伝-R」のテーマでもある「人として生きる」「いま、ここを生きる」といった「アメリカ・インディアンの思想」と相通ずるところだと考えます。
いまの自分の生き方に確信が持てないときは、「アメリカ・インディアンの思想」について書かれた本を読んでみることをおすすめします。きっと、何か得るものがあるはずです。
「アメリカ・インディアンの思想」についての記事は、こちらのカテゴリーにあります。まだまだ記事数は少ないですが、のんびりと投稿していこうと考えています。
カテゴリー:「人として生きる」